『音楽再発見100エピソード』(教育芸術社)の紹介です
『音楽再発見100エピソード』(教育芸術社)という高校生向けの音楽入門書の中に「広島に捧げられた音楽」というページがあります。その中でフィンランドの作曲家アールトネンの「交響曲第二番ヒロシマ」も紹介されています。
著者は国立音楽大学教授の久保田慶一先生。
「広島に捧げられた音楽」としては、ポーランドの作曲家ペンデレツキの「広島の犠牲者に捧げる哀歌」が有名ですが、「交響曲第二番ヒロシマ」は、ヒロシマと音楽」委員会委員の能登原由美さんが研究されているフィンランドの作曲家エルツキ・アールトネンの曲です。
「交響曲第二番ヒロシマ」の広島公演について、能登原由美さんは下記のように述べています。
「終戦10周年記念 関響特別演奏会」
1955年(昭和30年)8月15日、開館して間もない広島市公会堂にて開催された演奏会。日本を代表する指揮者、朝比奈隆(1908-2001)が関西交響楽団(現大阪フィルハーモニー交響楽団)とともに来広し、フィンランドの作曲家、エルッキ・アールトネン(1910-90)が作曲した《交響曲第二番「ヒロシマ」》(1949)の日本初演を行った。この作品は、被爆から僅か4年後の1949年(昭和24年)に作曲され、同年ヘルシンキで世界初演された作品で、「ヒロシマ」をテーマとする現存の器楽作品の中では世界最初のものとみられている。朝比奈は、1953年にフィンランドに滞在した際に作曲家自身から楽譜とともに広島での上演を委託されていた。財界からの援助により、被爆10周年の記念事業として5千人もの広島市民が公演に無料招待されたが、被爆の惨状と復興へと立ち向かう広島の様子を描いたその音楽に、多くの被爆者が涙を流したと当時の記事は伝えている。
詳細は
アールトネンの『交響曲第2番』”Hiroshima”
『藝術研究』第21・22号(2009)87-96頁
著者の久保田慶一先生は、
「今の高校生は、広島に捧げられた音楽があることは知らないだろうから」ということで、今回アールトネンのことも書いてくださったようです。
このページをPDFでその部分を紹介します。
この本は単なる入門書にとどまらず、音楽全般に関して様々な角度からとてもわかり易く書かれていて、また1200円と価格も安いです。
また、この本の紹介と、楽曲を,試聴することができるサイトがあります。
このサイトでは,ナクソス・ミュージック・ライブラリーの協力により,教育芸術社刊行「音楽再発見100エピソード」(久保田 慶一 著)でとりあげている楽曲を,試聴することができます。
本書のエピソードと合わせてお楽しみ下さい。
http://www.kyogei.co.jp/publication/100episode/ongakusaihakken/index.html