「摂氏4000度からの未来」世界初演
広島市は、被爆70周年記念事業を広島交響楽団の創立50周年の特別事業と共同で、実施します。「文化・
芸術による平和の体現」を目的に、音楽を通して、ヒロシマの心を広く国内外に発信します。
被爆70周年記念事業として、広島市と広島交響楽団は、「広島レクイエム」などの作曲で知られる広島市出
身の著名な作曲家の 糀場(こうじば)富(ふ)美子(みこ)氏 に、原爆投下時に摂氏4000度にも達した広島の
まちの現在と未来に向けてエールを送る新作「摂氏4000度からの未来」の作曲を委嘱しました。
そして、この新作は、広島交響楽団の秋山和慶のデイスカバリー・ シリーズ「音楽の街を訪ねて」において
世界初演されます。
日 時:2015年3月27日(金)18:45開演(17:45開場)
場 所:アステールプラザ大ホール (広島市中区加古町)
内 容:
指 揮:秋山和慶 管弦楽:広島交響楽団
コンサートトーク 「ふるさと広島の未来に寄せて」(糀場富美子)
糀場富美子 「摂氏4000度からの未来」
ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」
チケット料金:S席:5,200円 A席:4,200円 B席:3,200円 学生:1,000円
チケットのご案内
広響事務局 TEL 082-532-3080 受付時間 平日9:00~17:20
広島市生まれ。故バーンスタイン氏の推薦で、大植英次指揮により初演された「広島レクイエム」は小澤征爾指揮ボストン交響楽団をはじめ、広島交響楽団など多くの楽団で演奏されている。別宮賞、芥川作曲賞受賞。
「広島レクイエム」について
《弦楽合奏のための「広島レクイエム」》
この曲は1979年に作曲、翌年広島市に寄贈する。1980年に演奏される予定であったが、技術的に演奏が難しいという事で延期となり、今回が初演である。今回の演奏にあたり、前半を大幅に書き直した。
両親共に広島県生まれ、但し呉市在住の為、直接原爆にあうことはなかったが、父は原爆投下後2日で広島市に入り、死体処理をする。小さい頃から、8月6日になると、両親やその友人達から原爆の話は聞かされ、幼いながらも、その恐ろしさを感じとっていたように思う。小学校の時、原爆資料館を見学し、嘔吐感を覚えるほどの恐怖をいだき、それ以後、「原爆」から目をそらしてしまった。改めて「原爆」に目を据えたのは、大学入学の為に広島を離れて上京してからである。広島市に生まれ育ち、また生き残った者として、「原爆」を許すことはできない。この曲は、いつかは絶対に書かなければならないと思っていた曲なのである。
この曲の前半部分は、原爆で傷つき死んでいった人々のうめき、悲しみを、後半は、その人々が苦しみからのがれて、神のもとへ赴き、神のひざもとでやすらかに眠れるようにとの祈りである。
今回の演奏にあたり、この曲をプログラムに組み込んで下さったバーンスタイン氏、指揮の大植氏、演奏して下さるECYOの皆さん、そしてこのような機会をさずけてくださった神に感謝致します。
糀場富美子
(1985年8月6日、広島市における初演コンサートのプログラム・ノートより転載)