2012年12月7日に「「ヒロシマ・音の記憶Vol.3~歩み~」を開催しました。
主 旨:「ヒロシマ」をテーマにした音楽作品は、世界的なジャズピアニストたちによっても生み出されてきた。今年のコンサートで取り上げる3つのジャズ作品は、被爆30周年(1975年)、50周年(1995年)、そして21世紀最初の原爆記念日(2001年)という節目に生み出されたもので、広島の被爆後の復興の歩みにも重なっている。けれども、ここで表現されているのは、「平和」、「希望」という復興に関わるものばかりではなく、被爆者たちが背負い続ける「終わりない道」でもあり、原爆が人々に与えた傷跡が現在に至ってもなお計り知れないものであることを示している。
「ヒロシマ・音の記憶」第3回目のコンサートでは、ジャズやモダンの作品演奏を中心に、こうした「ヒロシマ」の被爆後の歩みを振り返りたい。さらに、この度の会場は、昭和21年12月31日に第九のレコード演奏会を開催し、被爆者たちを勇気づけたことで知られる”音楽喫茶ムシカ”(ただし現在の店舗は当時のものとは異なる)で開催する。コンサートではこうした事実に触れながら、被爆から復興へと立ち上がった人々の長い歩みを音楽とともに振り返っていきたい。
日 時:平成24年12月7日(金)19時開演(18時開場、20時半終演)
場 所:純音楽茶房ムシカ(広島市南区西蟹屋2−2−11)
出演者:研井貴馨子(ピアノ)、トニー・ハウズ(ヴォーカル)、山本綾香(フルート)
<プログラム概要>
○ハービー・ハンコック《平和の街のために》(ピアノ・ソロ)
被爆から30年後の1975年6月、コンサートで広島を訪れたハービー・ハンコック(アメリカの世界的なジャズピアニスト)がその復興の様子に感銘し、徹夜で作曲したもの。翌日、曲は広島市内で演奏されるとともに、作品は広島市に寄贈された。
○マル・ウォルドロン《白い道》(ピアノ、フルート、ヴォーカル)
被爆50年目の1995年8月6日、広島市中区善正寺でのライヴで演奏される。マル・ウォルドロン(アメリカ出身、ベルギーを拠点に活躍した世界的なジャズピアニスト)は、日本人妻とともに93年に広島の平和記念資料館を訪れた際、展示されていた「白い道」という詩に惹きつけられ、その後曲をつけた。この詩は、生後40日で被爆した伊藤笙が14歳の時に書いたもの。現在も展示中。ウォルドロンはこの時急性白血病を患っており、2002年に死去。
○秋吉敏子《Hope希望》(ピアノ・ソロ/ピアノとヴォーカル)
秋吉敏子(アメリカ在住の世界的なジャズピアニスト)は、広島の被爆二世の住職からの依頼でジャズ・オーケストラのための作品《ヒロシマ—そして終焉から》を作曲した。ミレニアム最初の原爆記念日に広島市内で初演される。その第3楽章《希望》は、秋吉自身がピアノ・ソロにアレンジされ、さらにその後、谷川俊太郎によって詩がつけられた。その歌を、秋吉の娘、Monday満ちるが英訳するとともに、秋吉の伴奏で歌っている。
○広島在住の作曲家、松本憲治氏の作品
《心の「グリーンスリーブス」- 内なる慰安のために-》
《ピアノのための「碑の影」》
○その他、武満徹のソング、フルートのための作品