「千羽鶴に捧げるレクイエム」楽譜と音源の発掘
1958年にラジオ中国(現中国放送)によって制作され、その後は詳細が不明となっていたラジオ音楽「千羽鶴に捧げるレクイエム」の楽譜と放送時の音源が見つかりました。作曲者である山崎登さん自身によって保管されていたものの再演の機会がなく、また関係者の逝去などによりその存在が埋もれてしまったようです。当委員会が取り組んでいる被爆後の音楽活動調査の過程で、先日発見されました。
この作品は、「原爆の子の像」が1958年5月に完成したことを受けて同年8月6日にラジオ中国で放送初演された作品で、詩は原爆詩人として知られる故米田栄作さんによるものです。朗読、独唱、合唱とオーケストラからなる30分程度の大きな作品です。
像のモデルとなった故佐々木貞子さんの千羽鶴の逸話にちなむ音楽作品は数多くありますが、この作品は恐らくもっとも早い作品とみられます。
また、米田栄作さん自身はその後、「千羽鶴-原爆の子の像に」という詩を1961年に発表しておられますが、「千羽鶴に捧げるレクイエム」に使われている詩はその前段階のものとみられます。また、原水爆禁止運動の影響を思わせる内容も随所にみられるなど、米田さんの詩作の変遷を知る上でも興味深い作品といえそうです。
なお、このニュースについては、RCC中国放送でも近日報道される予定です。
(文責:能登原由美)