日別アーカイブ: 2015年7月1日

「ヒロシマを渡る風」(作曲 三浦則子)広島で世界初演される

「ヒロシマを渡る風 ―室内オーケストラのために―」(作曲 三浦則子)広島で世界初演される

日本を代表する現代音楽作曲家 細川俊夫がお届けする HIROSHIMA  HAPPY  NEW  EAR(広島の新しい耳)シリーズ19で、被爆70周年という節目の年である2015年6月25日に、細川俊夫が注目する二人の作曲家に「ヒロシマ」をテーマにした作品を委嘱した「ヒロシマを渡る風 ―室内オーケストラのために―」が、川瀬賢太郎の指揮、広島交響楽団(室内オーケストラ編成)の演奏で広島市中区アステールプラザにて、世界初演されました。

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細川俊夫さんに紹介され、作曲について解説する三浦則子さん    ©  ひろしまオペラ・音楽推進委員会

「世界に存在する“者”と“物”。者、つまり人間は、次のいまそこを志向することによって時間的存在と成り

うるが、物は、時の推移を志向することはない。生きようとする意欲が世界を決定する。世界は、生きようとす

る者による未踏の現象であり、あらかじめ知ることはない森羅万象である。」(門脇道雄氏の論文より抜粋)

この未踏の現象の背景に、私は風を感じる。しかしどんな状況の中でも、人は風を感じることができるのだ

ろうか?例えば、70年前のヒロシマの惨劇の後で。あるいは同じ頃、地球の反対で起こったアウシュビッツで

の残虐な行為の中で。者が物と扱われる瞬間から、悲劇は起こる。者は、突如、時の推移のない“無風”に曝さ

れる。

今も続く、この悲劇がもたらす数々の惨事を通じて、私は70年前のヒロシマを想像する。未踏の現象とともに

翻弄され続ける“風”の様相を、つまり惨劇の過去から今、そして未来へとヒロシマを渡る風を、この作品のテ

ーマとした。 (プログラム より)

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「ヒロシマを渡る風 ―室内オーケストラのために―」を演奏する

                              川瀬賢太郎の指揮、広島交響楽団(室内オーケストラ編成)

                                           ©  ひろしまオペラ・音楽推進委員会

「広島時間」(作曲 徳永崇)広島で世界初演される

「広島時間」(作曲 徳永崇)広島で世界初演される

日本を代表する現代音楽作曲家 細川俊夫がお届けする HIROSHIMA HAPPY NEW EAR(広島の新しい耳)シリーズ19で、被爆70周年という節目の年である2015年6月25日に、細川俊夫が注目する二人の作曲家に「ヒロシマ」をテーマにした作品を委嘱した「広島時間」(作曲 徳永崇)が、川瀬賢太郎の指揮、広島交響楽団(室内オーケストラ編成)の演奏で広島市中区アステールプラザにて、世界初演されました。

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細川俊夫さんに紹介され、作曲について解説する徳永崇さん  ©  ひろしまオペラ・音楽推進委員会

広島の街には、様々な原爆の記憶が残っていて、今もなお現実とは異なる複数の時間が流れていると感じて
います。また、国際平和都市という清廉なイメージがありますが、猥雑なものも含め、雑多な要素がない交ぜ
になっているのが、現在の広島の姿であるとも感じています。本作品は、そのようなハイブリッドな様相を音
で表現する試みです。過去や現在の様々な事象を音響化し、共存させる方法を取りました。その結果、原爆と
戦争が決して過去のものになっていないことに気付き、がく然としています。例えば、現在を象徴する音を探
したとき、やはりそこには戦争の影が潜んでいるのです。今、日本が向かおうとしている方向や、世界の動向
について考えたとき、絶望的にならざるを得ません。しかし、大人が絶望しようとしまいと、現代の荒野に子
どもたちは産まれ、生を育んでいきます。原爆資料館には、昭和20年8月6日の市内での出生記録が残されて
います。本作品には、現状に対する問題提起の側面もありますが、同時に新しい生命へのささやかな感謝の気
持ちも込めました。未だ戦の絶えないこの世における命のたくましさと切なさを、私の身の丈に合ったやり方
で、表現できれば幸いです。 (プログラム より)
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「広島時間」を演奏する川瀬賢太郎の指揮、広島交響楽団(室内オーケストラ編成)

©  ひろしまオペラ・音楽推進委員会

ヒロシマと音楽

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